産後うつ、ジェンダー差別をテーマとして描かれている作品です。
主人公のジヨンに共感しかありませんでした。
2歳の娘と夫と暮らすジヨン。妻として、母として、絵に描いたような幸せがそこにある。子どもは可愛いし、子どもにイライラするシーンはひとつもない。
でも、出産で人生が大きく変わるのは女性なのです。
ジヨンは出産を機に大好きな仕事も辞め、復職しようと思えば「俺が働けと言ったか?」と夫に言われ、「あなたが働いても大した稼ぎにもならない、夫の出世を邪魔するな」と義母に言われる。
働きたいのはお金のためじゃない、産後突如として沸き上がってくる「働きたい」は私も一緒でした。当時はその理由がわかりませんでした。今でもなぜそんなに働きたかったのか明確な理由は思い出せません。でも、母親になるとなぜだが批判ばかり浴びせられているような気がするのです。
買い物中、娘が泣き出すと「かわいそう」と言われたり、犬と娘を連れていたら「赤ちゃんがいるのに犬も飼っているの?」と言われたり、ベビーゲートを設置したら「牢屋みたい」と言われたり…
普段はスルーできることがスルーできなんですよね。なぜ、みんな私のやることすべてにおいてそんなことを言うんだろう、と悲しんでいました。
母親は評価されない、でも、今まで続けていた仕事なら間違えなく評価してもらえるだろうし、看護師同士集まれば共通の話題ができるかも、と本当に喉から手が出る思いで救いを求めていたのかもしれません。
仕事と子育ての両立は本当に大変でした。でも、誰にも認めてもらえずあのまま家で毎日を過ごしていたら、私は壊れていたかもしれません。あの時のどうしようもない辛さを救ってくれたのは仕事だったと、今では感謝しています。
私は自分の安全を守れる居場所を持つことが大切だと思っています。否定ばかりされる場所にいると自分はダメな人間だと追い詰めてしまいます。仕事を始めなくても、支援センターに行くこともおすすめです。他のママと無理して関わる必要はなく、保育士とだけ話していればいいと思います。通うのがおっくうであれば、保健師に電話して辛い気持ちを聞いてもらいましょう。それだけで、心は安らぐものです。
この映画は私のことかと思うくらいリアルでした。そして見えてきた結論は、子育ては一人で抱え込まないこと、相手のペースや感情に巻き込まれないこと。それが、母親の心を守るために必要なことではないかと考えます。