『GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代』 アダム・グラント著を読み終えました。
今年の私のテーマは「与えるステージに立つ」ことです。それは、信頼できる人とつながり、温かな人間関係を構築したいと考えたからです。与える人間になると、人が自分に集まってくるようになると言います。これまで私は誰かの作った円の中にしか入ったことしかなく、時にはその円からはみ出し、焦ったり、寂しい思いをすることがありました。しかし、自分を中心に円を描いてみたらどうだろうと考えるようになりました。それはとても勇気のいることですが「はみ出し者」という思いを抱かず、無理して相手に合わせなくてもいいのかもしれない。自分の価値観を発信していき、共感してくれる人と過ごせる居場所をつくりたいと考えたのです。「与える人」になりたい、そう思い著書を手にとりました。
まず、人の特性は次の3に分類できると言います。
・「ギバー(Giver/与える人)」
・「テイカー(Taker/受け取る人)」
・「マッチャ―(Matcher/帳尻を合わせる人)」
最終的にこの3つの特性の中で最も成功するのはギバーであるという結論を出していますが、すべてのギバーが成功できるわけではないと言います。ギバーには「成功するギバー」と「燃え尽きるギバー」がいます。中田敦彦さんのYouTube大学ではわかりやすく前者を「エンジェル投資家」後者を「断れないいい人」と例えています。
テイカーが「利己的」で、成功できないギバーが「自己犠牲的」なら、成功するギバーは「他者志向的」と言えます。自分を犠牲にするとすぐにボロボロになりますが、他者志向になるということは、受け取るより多くを与えても、けっして自分の利益を見失わず、それを指針に「いつ、どこで、どのように誰に与えるか」と決めることです。
学生のころの私はいい人でありたいという思いが強く、自分を犠牲にしながら、なんでも引き受けていました。今思うと典型的な「断れないいい人」でした。本当はどれもしたくなかったし、いやでいやで仕方ありませんでした。さすがに1年続くとひどく疲弊していて「人生相談」と書かれた扉の部屋の前にいました。このままだとまずいと我に返り、その関係を断ちました。自分の時間とエネルギーを使い、燃え尽きてしまったのです。
私の場合、誰かに与えると付け込まれ利用されてしまうと考え、人と一定の距離をとるようになりました。自分からは与えない、もちろん相手からも何も受け取らなくていいと非常な無気力な人間となっていきました。しかしこれはこれで、とても狭い人間関係になっていて心から分かり合える人と出会えることもなく、とても苦しい状態でもありました。
誰とも分かり合えない状況となっていき、信頼できる人を見つけたいと強く思うようになりました。正直、テイカーとは関わりたくありません。誰もがそうですよね。しかし、この人はテイカーかも、と常にアンテナを張るのは非常に戦々恐々として疲れます。それには自分が「信頼できる人」になるしかないのです。
著者は、相手が誰であろうと「この人にどんなことをしてあげられるだろうか?」と自分に問いかけることが大切であると述べています。将来助けてくれそうな人が誰かなんて必ずしもわかるわけがないからと。
私の出した結論は「自分の限られた時間の中で、自分を犠牲にせず楽しいと思えることから与えてみよう」ということです。今私は小さな親切をするよう心がけています。仕事中、自分に余裕がある時には「何か困っていることないですか。私にできることはないですか」と聞いてみたり、いつもよりゆっくり患者さんの話を聞いてみたり。家では子どもが飽きるまで遊んであげたり、心を込めて体を洗ってあげています。
そして、微力ではありますが、自分が持っている知識で誰かの役に立ちたいと思いブログを書いています。1記事書くのに1時間から2時間かかっていますが、私は書くことが大好きなので全く苦になりません。そうしてこのように発信していくと、共感や感謝の言葉をもらえたり、同じような考えを持つ素敵な仲間に出会うことができました。それはすでに与えるより多くを受け取ったと感じています。それが「成功した」と評価しても過言ではないでしょう。
与えることをしない無気力な私では決して出会えなかった素敵な人たちに、今私は出会うことができ、それがどんなに幸せなことか毎日喜びを噛みしめしています。みなさん、いつも本当にありがとうございます。これからも与えるステージの人間であり続けたいと思っています。
著書は骨太であり、読むのには少し時間がかかります。購入を迷っている方はまずこちらがおすすめです。
精神科医 樺沢紫苑先生が著書をわかりやすく要約してくれています。
中田敦彦さんのYouTube大学。とても面白く、楽しく学べます。