Morning letter

朝のひとときに、心穏やかな1日が送れるような、エッセンスをお届けします。

不滅の刃/樺沢紫苑著~読書感想文~

はじめに

8月1日に発売された精神科医・樺沢紫苑先生の「父滅の刃」

「アウトプット大全」から樺沢先生のファンになった私は迷わず購入した。

しかし、樺沢先生の影響を受け映画を観るようになったものの、映画超初心者の私が映画の心理分析を題材にした400ページにわたるこの分厚い本を読み遂げることができるのか、果たして内容を理解することができるのだろうかという不安を抱いていた。

しかし、読み始めると、わかりやすい文章を心掛けてらっしゃるいつもの樺沢先生の文体でひとまず安心、そして一気に惹きつけられた。

観たことのない映画がほとんどの内容であるのにかかわらず、そのキャラクターの心理描写が容易に目に浮かぶ。

ものすごい要約力でストーリーをまとめ上げられているため、するすると内容が頭に入り私はたくさんの映画を観終えたんじゃないかという錯覚におちいった。

「なにこれ、すごく面白い!」

これが率直な感想である。

 

 

私は妻であり、母である。

「父性」を耳にしたのは著書が初めてだ。

生きていくうえで大切なのは「母性」であり、「父性」とは何か役立つものだろうかと、「父性」について無知であり、軽視していた。

まさに「父性消滅」

しかし、果たしてそれでいいのだろうか。

私は夫にどんな父親であってほしいのだろう。

子どもが生まれてからそんなふうに考えることが少なくなかった。

子どもには母親は絶対的存在、でも父親は…?

「父親」の存在意義に疑問を抱きながら子育てしているとき、この本を手に取ることができた。

 

 

本書で「良き父親」とは

・規範を示している

・尊敬、信頼されている

・「すごい」「そうなりたい」と思われてる

・ビジョン、理念、方向性を示している

と述べられている。

 

私と父親

私の父は技術職で今も現役で働き、調和型のリーダーとして周囲をまとめている。

さいころから18時には帰宅しいつも一緒に遊んでくれ、取り組んでいたスポーツも一生懸命応援してくれた優しい父である。

父は私が20歳になったころ、会社を辞め独立した。

考えが未熟だった私は

「終身雇用が当たり前なんじゃないの?」

と、父の働き方にうがった見方をしていた。

しかし、ようやく最近学びを深めていくと、自分のやりたいことを大切にし、起業するというのは最も幸せな生き方であるとともに、たいへん苦労も多かっただろうと気づいた。

父は「Good Father」だったと、誇りに思う。

著書を読み終えてすぐの夏季休暇に両親に会いにいった。

父はいつもと変わらず優しい。

今まで父の仕事に興味も持たずにいたが、独立するときは大変だったよねと私から切り出してみた。

「会社を辞めるときは『お前なんかよそに行っても使い物にならない』と上司から言われ、この先生活できるのだろうかと悩んだが、そうではなかった。

案外やっていけるし、なんであんな小さな会社が人生の全てだったのだろうと振り返る。

あの時会社を辞めると決断したことは間違いではなかった」

と話してくれた。

その話に私は強い「父性」を感じ、父を心から「尊敬」できた。

そしていつも家族の雰囲気を大事に笑顔を絶やさず、母にも優しく接してくれていたのだ。

 

30代でようやく父親殺しができ、私は自己成長することができた。

60代の両親、いつまでも元気にというのは不可能だが、できるだけ会いに行きたい。

両親が存命のうちに家族がかけがいのない存在であることに気づかせてくれた樺沢先生には感謝したい。

 

 

私と父性

「父性」は父親だけが持つものではなく、私たち一人ひとりが持つべきものであると述べられている。

素晴らしい父性を持った父親を持ちながらも、私は「父性」が足りない。

「良き父親」の定義に全く当てはまらない。

父性に興味を示していなかったが、これにはがっかりした。

そして、自分の「父性」について初めて見つめる機会となった。

 

自分の人生の転換期は高校生の時だ。

当時取り組んでいたスポーツの強豪校に期待を膨らませ入学したが、全く太刀打ちできず大きな挫折を味わった。

だんだんと自信を失い

「自分は価値のない人間だ」

と思うようになった。

自己肯定感の低い自分から抜け出せず今まで生きてきた。

批判を怖れ、目立たないように、自分の意見を言わないように…ずっと生きにくさを感じていた。

本の表紙には「現代人の『生きにくさ』の謎を解く」と書かれている。

私の生きにくさは「父性」の欠如だったと、著書を読み気づくことができた。

そして、私が今のままではいけないと強く思ったのは、自分には子どもがいるからだ。

 

弱い父親について以下のように述べられている。

「『Wewk Father』の息子は、衝動のコントロールが難しくなります。父親とぶつかりながら、自分のチカラの限界を知り、衝動をコントロールできるように成長するわけですが、ぶつかるべき父親が弱すぎると、衝動のやり場がなくなってしまう。結果として、喧嘩したり、人をいじめたり、暴力をふるったりと、おかしな方向へ衝動を向けることが起こってくるのです。」P269引用

 

私は母親であるが、私の父性が弱いと子どもが不安定になってしまうのではないかと危機を感じたからだ。

子どものために「父性」を磨きたいと心に決めた。 

夫とともに。 

 

私と夫

私は何事も自分で判断することができない人間だった。

しかし、大人になって私が唯一自分で決めたものは「結婚相手」だ。

それが今の夫である。

自分で決めたからにはこの結婚生活に責任を持ち、夫婦として良い関係を保ち続ける努力をしようと心に決めている。

しかし、その努力はやはり「父性」とかけ離れている。

夫に嫌われたくないがために、夫の顔色をうかがい、自分の意見を言わないようにしていたのだ。

「何食べたい?あなたの好きなものでいいよ」

「いや、君の好きなものでいいよ」

(…どうしよう…自分で選んで、やっぱり嫌だったと言われたくない…)

自分の父性不在が家にいても息苦しさがあった。

しかし、子どもが生まれた今、そして「父性」の大切さを知った今、この状態でいいわけがない。

子どもにとって私たちは「最高の両親」となり、情緒が安定した、自発性のある、自分を大切にする人間に育ってほしい。

そのためには私自身が「父性」を身につけなけらばならない!

 

以下2つのToDoを挙げ、3カ月実行した。

①何事も自分で判断する。

 やりたいこと、行きたいところ、仲良くなりたい人は自分で決め行動した。

初めは抵抗があったが、自分で判断し行動すると、たとえ期待していた結果がでなくても「次は違うやり方でやってみよう」と前向きにフィードバックすることができた。

また、樺沢先生がおっしゃる「ワクワクする方」「ファーストチェス理論」を判断基準とした。

どんなに悩んでも判断基準に戻ることで、自分を信じられるようになり、他人の顔色を気にることなく毎日が充実し、楽しく過ごせるようになった。

夫婦関係もみるみると変わっていった。

食べたいものは一度夫に聞くが、なんでもいいと言われたら私が食べたいものを即決するようにした。

そしてなんと、夫も自分のどんどんと意見を伝えてくるようになったのだ。

お互いに自分を大切にするようになり、以前よりやりとりが楽しくなった。

自分が規範を示せば、相手にも影響を与えるのだと実感した。

 

②「逆転婦婦」にならないよう夫に「父性」を担当してもらうよう話し合う。

本書で逆転夫婦について以下のように述べられている。

父親と母親と子供という関係性で見た場合、父親が主に「父性」を担当し、母親が主に「母性」を担当しないと、子供は精神的にものすごく不安定な状態に陥ります。

わかりやすくいうと、子供が何か間違いを犯した場合、父親が「叱り」、母親が「なだめる」「やさしく接する」「フォローする」ことが、子供に対して養育的に働きます。P359引用

 

私はさっそくこの本の内容について夫に話した。

夫の心にも響き、「父性」担当についてすぐに承諾を得てくれた。

先日夫は子どもを叱ったあと

「言い過ぎたかもしれない、これでいいのか?」

と私に聞いてきた。

「子育てに正論はないから、自分が正しいと思った子育てをしたらいい。厳しい父親であっていい。フォローは私がするから大丈夫」

と伝えた。

厳しいしつけは夫が担い、私は子どもに寄り添う。

決して子どもの前で夫を責めない。

子どもはまだ2歳なのでどう良い影響を与えらえているのかまだわからない。

でも「父性」と「母性」のバランスが調和された家庭で育つ子どもがどのように成長していくのか、これからが楽しみでたまらない。

 

おわりに

 本書を読み、映画の楽しみ方、深さに、樺沢先生の視点を知ることができ、大変満足している。

そして、人生の幸せが決して仕事や成功だけではないことも気づかせてくれた。

「家族とは、かけがえのない存在。家庭は、私たちが帰る場所なのです」P285引用

この一文が一番心に残っている。

「父性」を意識し始めた私は、今こそ家族の大切さに向き合わなくてはならないと感じている。

そのためにはどうしなければならないか、すでに考え、実行中だ。

「自分で考え、自分で行動しろ」

という裏しおんちゃん先生の期待に少しでも応えられていたらうれしい。

樺沢先生、今回も素晴らしい本を執筆していただきありがとうございました。

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