映画「最高の人生の見つけ方」
死を意識した男性2人が同じ病院で知り合う。
「やりたいことリスト」に基づき、残りの人生を生き生きと駆け抜ける。
家族のため、やりたい職業をあきらめ、地道に働いてきたカーター。
仕事に人生をささげた大富豪エワード。
共に余命6か月。
治療や家族と距離を置き世界へ飛び出し、やりたいことをやりつくす。
やりたいことをやっているうちに見えてきたのは「家族」だった。
子どもが巣立った後、妻には愛情はないと語っていたカーターだったが、自分が愛すべき相手が妻、家族であったと気づき帰国。
4回の離婚を経験したエワードも、絶縁状態の唯一の一人娘に意を決して会いに行く。
偶然の出会い、赤の他人から友人となり、残りの人生を楽しむ。
一人でいるより二人がでいることの方が楽しい。
自分のやりたいことをやっていると、本当の自分でいられ、そして大切なものに気づくことができた。
それは「家族」で、人はみな最後に帰るところは家族だということー
この映画を観て、ある一人の患者さんを思い出しました。
Aさんは、抗がん剤治療をしていましたが、これ以上の治療をしたくないと医師に告げました。
それはとても早い段階での緩和ケアへの移行でした。
その後家族や友人と旅をしながら過ごし、少しずつ体調がすぐれなくなり再入院。
「治療をしない選択をしたこと、先生はバカだなって思ったでしょうね。でも、私は後悔していない」
Aさんは私にはっきり言い切りました。
そして「自宅で最期を過ごしたい」と言いました。
自分の人生は自分で決め、やりたいことをやる。
その表情は凛とし、とても美しかったことを今でも鮮明に思い出します。
「やりたいことリスト」に添い、私は看護師としてできる限りの支援をしました。
心と身体に苦しみがあるはずのAさん、家族、友人に、絶えず笑顔と暖かな空気がまとっていたことを今でも忘れられずにいます。
「やりたいことをやる」「自分の人生は自分で決める」
これらは、自分の人生が終わりに近づいてから決められるものではないと思うのです。
Aさんのそばにはいつも家族と友人がいました。
それはAさんがずっと、周囲を大切にして、自分の役割を担ってきたからだと思います。
病気になる前から、いつも主体的に動いていなければ最高の人生のピリオドを打つことはできません。
精神科医樺沢紫苑先生は死について「楽しいことを先延ばしせず、後悔しない1日を過ごす。毎日、全力で生きる。それは日々、きちんと繰り返していれば、突然、死が訪れても後悔は感じない」と述べています。
私はつい他人の人生を歩んでしまいがちですが、もうそれはおしまいにします。
最高の人生を送りたいからです。
自分と、自分の本当に大切な人と過ごす時間を全力で生きていきます。